夜の間
擦れる草
靴底の石粒
撫でる薫風
ざらざらの川面
灯りの消えた居間
窓枠の招く日差し
風、並ぶ藪
暮に染まる茜の山
〈雲が漂っている〉
あの鱗雲のひとかたまりについて一つ
燻り絶え行く焔を、そっと吹いてまた赤ざめさせるのは
いつだってあの鱗雲だった