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あなたへ
あなたへ
何を、書くべきでしょう
暗く狭いあの場所で、虚の温もりに浸るあなた
そのままにしてはおけないと思った時も、ありました
あなたの心をどうにか奮い立たせ、花が芽吹き鳥が唄う光の中に連れ出さねばならないと、私はそう思ったから、うろから飛び立ちました
私がいては、あなたはいつまでも立ち上がれないから
あなたの為だと思ったのです
けれど、違いました
光が必ずしも善や良の側にいるとは限りませんでした
光の中に影はありませんでした
影とは存在です
影がないのは、光の中が虚だったからです
では、あのうろの中は?
あそこには、あなたがいました
私もいました
あなたの肌の熱もありました
確かに、うろの中には、在ったのです
果たしてどちらが良かったのでしょう
あなたは今、幸せでしょうか
私は、あのうろにあった温い幸せに、負い目を感じてしまったのかもしれません
「幸せなままなぞ有り得ない」と思ってしまったのです
何故でしょうね。
もはや戻ることは、出来ませんが
どうかあなたは、幸せを手放さないでください
あなただけのものです
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